独学のコツ ~いかにして時間制約を克服するか~
何を思ったのか、私は45歳のときに経済学を学ぶために大学院に入学した。
仕事をしながらということもあり、どうやって勉強時間&研究時間を捻出
するか?
幸いにも、大学院の授業は土曜日にも受けることが出来たので、
理論的には、社会人が仕事をしながら、大学院に通うことは可能。
単位(11科目)を取得するための勉強時間(試験に合格しなければならない)に加えて、課題レポートや、ゼミでの発表資料、そして何よりも論文を書くために、相当な量の先行研究論文を読まなくてはならない(しかも英語)。
更に、私の場合、数学(線形代数、微分積分)の勉強に結構な時間を割く
必要があった。数学の理解がないと、計量経済学のテキストを読むことが
出来ず、計量経済学の理解が無ければ、実証分析系の論文を書くことは
不可能。
もちろん、大学院に入る前はそんなに勉強をすることがあるとは思っても
いなかった。
分かっていたら、大学院なんて行ってなかったと思う。
それが結果的に良かったのかも知れないけど。
「救い」は、勉強が面白かったこと。無茶苦茶、面白かったということ。
仕事をしながら(会社には、大学院に行くことは秘密にしていた)だったからだろうか。
大学院での時間は、とても新鮮だった。アカデミックな世界に入って、若い人に混じって、自分が興味あることを学ぶのは至福のひとときだった。
そして、いつの間にか「自分に合った勉強法」を見出していた。
以下、列挙。
①40分間勉強法
私には40分間というのが、無理なく集中できる時間であることが分かった。
何故それが分かったかと言うと、夏季特別集中講義を受けたときの経験から。
大学の授業は、1回あたり100分あある。
特別集中講義は、朝から晩まで1回100分の授業が5コマ、文字通り終日行われる。
そのときに講師が言ったのは、「人間の集中力はもって30~40分だから、40分おきに5分or10分の休憩を入れます」
これが良かった。見事にハマった。
その時間配分のおかげで私の集中力は一日中持続した。
その証拠に、講義の最後に行われた試験でも「秀」を取得できた。
それから毎朝、出勤前に40分間勉強することとした。
集中して40分取り組むと、思った以上のことが出来る。
しかも朝イチが良いのかも知れないけど、頭がスッキリしていて、サクサク読める。はかどる。
40分のはずが、熱中し過ぎてしまって、しばしば朝の会議に遅刻しそうになったこともあった。
②通勤時間を活用
通勤電車の中がまた、良く集中できた。
電車の中に乗っているのは25分だったけど、講義の復習や論文を読んだり。数学の問題を解いたり。使用した数学・統計学のテキストは下記。
これまた熱中し過ぎて、何度か、乗り越したこともあったなぁ。
電車の中って「逃げ場」がないので、集中モード(ゾーン)に入り易い。
ただ、帰りの電車では勉強する気になれなかったので、基本的にはボ~としていたように思う。
③iPadを活用
論文や講義レジュメなど、全ての資料をiPadに格納。
そして、iPadペンシルで資料に、どんどんメモを書いていく。
とにかく書く。
モヤモヤしていること、分かったこと、ポイントをどんどん書いていく。
自分の言葉で言い換える。
そうすると頭が整理出来る。いろんなことが繋がってくる。
④日曜日は出来るだけ休む
論文を一気に書き上げるときまで、日曜日は「朝40分の勉強」以外は、休息をとるようにしていた。
って言うか、平日は仕事でヘトヘトだし、土曜日は終日大学院なので、どこかで脳を休めてあげないと、かえって能率が落ちてしまう。
時々、日曜日も数学の勉強をしていた。40分のはずが、ゾーンに入ってしまって、ついつい2時間、3時間と続けてしまう。
そういう過ごし方を続けると、明らかに脳のパフォーマンスが落ちる。
ストレスが溜まり易くなる。
睡眠が浅くなる。集中力が落ちる。免疫機能も落ちて、風邪を引きやすくなる。
「うまく休む」ことも、脳と精神のパフォーマンスを高めるうえで無茶苦茶重要。
⑤音楽
朝と通勤電車の中で勉強するとき、バッハの「平均律」を聴いていた。
「集中モード」に入るのに役立ったような気がする。
★★★
結局、3年掛かりだったけど、無事、経済学修士の学位を取得出来た。
長期履修制度というのがあって、私は3年履修で申請していた。(申請しておくと授業料は2年間分しか発生しない)
上記の勉強法が合っていたのか結局、2年で単位<11科目>を取得(半分が「秀」半分が「優」)しただけではなく、修士論文も書き上げてしまっていた。
しかし私は3年履修で申請していたので、2年目は修士論文を受理してもらえなかった。
1年間、無駄に待つのもモッタイナイので結局、3年目にもう一つ論文を書くことが出来た。
3年目に書いた論文の方が明らかに内容が充実していた(と思った)ので、こちらを提出し、無事最終試験に合格することが出来た。
そのまま博士課程に進む道もあったのだが・・・
ちょっと疲れたというのもあったし、いろんな意味で私には「博士」は及ばないなぁということが分かったので「修士」で卒業することにした。
またいつかチャレンジするかも知れないけど。
★★★
大学院に行ったことで、良かったこと
経済学で学んだことが直接、仕事に役立つということはないけれど、計量経済学を通じて統計学を学ぶことが出来たことは、どこかで活きてくるように思う。
好奇心が強くなった。⇒ 読書がいっそう楽しくなった。そして、仕事が前よりも(少しだけ)面白くなった。
インプットとアウトプット(資料作成)のスピードが早くなった。