まろにしも の好奇心メモ

私にとって知的好奇心はエネルギーの源です。読書や考えたことなどでこれは面白い!と思ったことを備忘的に書いていこうと思います!

「ゲームの理論」むっちゃ面白い!

ゲームの理論と言えばまず出てくるのが囚人のジレンマ

銀行強盗をしたあと、自分と共犯者が逮捕。別々の独房に入れられているとする。

以下のAかBのいずれかを選ばなくてはならない。

 A)共犯者どうして「協力する」(黙秘と続ける)

 B)「相方を裏切る」(密告して相方を警察に売る)

二人ともAを選択した場合、証拠不十分で無罪放免となり、銀行強盗で奪った金を山分け。50万ドルづつもらえる。

しかし一人が裏切って相手のことを密告し(B)、もう一人が沈黙を守れば(A)、密告者は釈放されて100万ドルを独り占めできる。

沈黙を守った方は単独犯として有罪判決を下され、10年の刑を受ける。

双方が相手のことを密告した場合(B)、2人とも有罪となり5年の刑を受ける。

この場合、相手が「協力」しようが、「裏切り」をしようが、自分は「裏切り」を選択した方が既に得策となる。

(相手が裏切った場合、自分も裏切った方が刑期が少なくても済む。相手が裏切らなかった場合、100万ドルを一人占めできる)

この場合、「裏切り」が均衡戦略となる。相手がとり得るすべての戦略に対して最良の対応となる。これは「支配戦略」と呼ばれる。

よし、戦略が明確になったぞ! という気持ちにはなれないですよね。

二人とも合理的に判断して「支配戦略」を採用(二人とも裏切る)すると、5年の刑を受けることになる。二人で「協力」していれば、無罪放免されかつ50万ドルを山分け出来るというのに・・・(もどかしい気持ち)

ここから得られる知見はこうである。

プレイヤー全員がそれぞれ自分の利益となるように合理的な行動を選択すると(支配戦略を採用すると)、均衡はプレイヤーにとって真に最良の結果にはならない、ということ。

アルゴリズムゲーム理論は、この知見をとりあげて定量化し、「無秩序の代償」という基準を生み出している。

それは、「協力した場合」と「各々が自分の利益を追求した場合(裏切る場合)」の各々の期待利益の比率である。

囚人のジレンマ」は、この無秩序の代償が悲劇的なほど高くつくケース。

どうすればいいか?

そこで出てくるのが「カニズムデザイン」である。

つまり、ゲームのルールを変えるっということ。

「どんなルールなら、相手がこちらの望む行動(二人で協力する)をしてくれるか」を問うのである。

そこで出番となるのが、ゴッドファーザーである。

ゴッドファーザーとは共犯者のボスである。

ボスが一言、こう言うのである。

「密告した奴は許さん!海に沈めるぞ」

つまり「密告する」という行動に制限を課すのである。

この「制限」が加わることによって共犯者は、自分の利益を追求した結果「協力する」を選択せざるを得なくなる。

この「メカニズムデザイン」の考え方は、宗教の役割を連想させますね。

殺人、姦通、盗みなどの反社会的行動に対する「制限」が、神の力によって課されることによって秩序が与えられる。。。(無秩序の代償を小さくする)

囚人のジレンマ」の問題を解決する方法は、他にもありますよ。

分かります?

そう、「愛」ですね。

共犯者が互いに、相手に愛情をもっていれば(男女間の愛でもいいし、友情でもいい)・・・

自分の利益よりも、相手の利益を大事に考えていれば・・・

ゴッドファーザーがいなくても、2人して無罪放免、そして50万ドルづつ山分け出来ますね!(ゴッドファーザーに上納金をおさめなくてもいい)

「結婚」って「囚人のジレンマ」の二人が「協力」を選択したケースに似ているような気がします。(「共犯者」の関係を守り通す)

相方よりも好条件(収入とか容姿とか)の人が見つかったとしても、多くの人は相方を裏切らない(離婚しない)ですよね。

何故か?

収入とか容姿とかでは代替できない「かけがえのなさ」を相方に見出しているからだと思います。

つらい境遇に耐えることができ(病める時も貧しいときも)、愛する相手と運命を共にする覚悟があるということは、「信頼できる共犯者」になれるということ。

 『アルゴリズム思考術』(早川書房:ブライアン・クリスヤン&トム・グリフィス)より