勝負の鬼のメンタリティ
勝負ごとにおいて、勝敗を決めるのは何なのでしょうか?
実力や努力、その日のコンディション?それに運。
勝負強い人っていますよね。ずっと勝ち続けることが出来る人。
無敗ではないかも知れないけれど、ここぞというところでは、
キッチリ結果を出せる人。
そういう人って何が違うんでしょうか?
『勝ち続ける意志力』(梅原大吾 小学館新書) は、勝負ごとに強い人は
いったいどういう思考をしているのか、どういうメンタリティをもって
日々を生きているのか?著者自らの体験談をもって教えてくれます。
悩みに悩み抜いた人の例に洩れず、著者の言語化能力は恐ろしく高いです。
著者は、世界一のプロ格闘ゲーマー。17歳(1998年)にして世界一の称号
を獲得。29歳(2010年)にして「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ
ゲーマー」としてギネス認定。
梅原氏は勝負事に重要なものとしてまず、「迷う力」を挙げる。
僕はこれまで頭の回転が速く、要領が良く、勢いに乗っていると思われる人間と何度も戦ってきたが、ただの一度も負ける気はしなかった。それはなぜか。彼らと僕とでは迷ってきた量が圧倒的に違うからだ
迷いながら、「考え抜く」ということ。
勝ち続けるためには、ひとつの問題に対して深く考えなければならない。既成概念を捨てて、視点や角度を変えながら徹底的に原因を究明する。
迷い、考え抜いて、そしてどうするのか?
とにかくやってみること。おそれずに自分を「変化」させること。
梅原氏は言う。
多くの人は、変わることと前へ進むことは別だと思っているだろう。確かに、自分を変えることは不安だし、変化した先に勝利があるとは限らない。けれども変わり続けていれば必ず前へ進める。
変化したことで失敗したり、後ろに下がったりしたときは、もう一度変化すればいい。失敗に気づいて変化すれば、以前の自分よりも必ず高い位置に行ける。
変化するためのコツについて
「そうすることで良くなるかどうかまで考えない」ということだ。もし悪くなったとしたら、それに気づいたときにまた変えればいい。とにかく、大事なのは変わり続けることだ。
深いですね。「考え抜くこと」と「変化すること」は別物ではないのですね。
考えるだけでは駄目。変化することで考えは深まる。
そして、更なる変化に繋げる。
迷い、考えながら変化を遂げる。変化して失敗しても、また変化を遂げる。
つまり「トライアル&エラー(試行錯誤)」を何度も何度も繰り返すこと。
それによって「成長」を遂げる。
結局、勝負の鬼である梅原氏が、「勝敗」以上にこだわっているのが、「成長」
なんです。
結果ばかりを追求していると、型にはまった考えしか浮かばなくなる。もっと効率のいい戦法はないか、もっと安全な戦い方はないか。
そして、「間違った努力」に走ってしまうという。
当時の僕は、苦しいことを我慢することのみが真の努力だと思っていた。ガムシャラに時間を割いたり、数をこなしたりするのは、自分を痛み続けるだけだと気づけなかった。
日々の研鑽の中で「変化」を起こし、迷いながら学び続ける。
その継続で、小さな成長へと繋げる。
勝負そのものも、自分を成長させる機会だととらえる。
勝っても負けても、そこから学ぶ。
そして自らを変化させる。
全ては、自らの「成長」のため。全ての目的は「成長」。
1回ぽっきりの勝負なら、運とか才能とか根性とか、何か一つが飛び抜けて
いれば乗り切ることが出来るかも知れませんが、勝ち続けるためには、
絶えず成長し続ける中でしか得られない「真の実力」が必要であり、
それは運も才能をも凌駕する、ということなのかも知れません。
著者が実体験を通じて得た境地を見事に言語化したこの本は、とてつもない
説得力とパワーがあります。
朝の通勤電車でこの本を読んだのですが、毎朝、ポジティブなパワーを
いただきました。本当、名言の宝庫で、いっぱい線を引いてしまった。
好きなゲームにトコトン打ち込んで、それで結果を出して世に認められて
著者のことを羨ましく思うかも知れませんが、著者の歩んできたゲーム道
は決して平坦なものでもなく、順風満帆でもなかった。
むしろ自己否定と苦悩の連続だった。
そういう体験があったからこそ、いまの著者があるような気がします。
またどこかでお伝えしたいと思います。