『大地』(パール・バック)の読んで、ふと思ったこと
『大地』という本に出合ったのは高校生のときでした。
この本を読むきっかけとなったのは、私が高校生のときの地理の先生の一言。
「この本は素晴らしい本です。読むと人生が変わりますよ!」 と。
あんまりパっとしない先生だったのだが、この本を紹介するときの先生のキラキラした顔があまりにも強烈で、帰り途に早速、駅の近くの本屋さんに行き、4巻まとめて買いました。
強烈に面白かった。
高校時代なので、ずいぶんぼ昔の話だけど、ページをメクるのがもったいないと思うくらいに面白かった。
中国を舞台とした親子3代の歴史大河小説で、時代背景は清王朝が崩壊に至る激動期
時代の荒波に翻弄されながらも、たくましく、したたかに、(時には)愚かに生きていく。
其々の世代が生きた時代背景が異なるので、世代間の溝が浮き彫りになる。
同じ血を分けた親子なのに、かくも価値観が異なるものかと思いつつ、よく考えてみると、現代の私達の社会でもそういうものなのかも知れませんね。
働き方に対する価値観、生活の中で重視すること、LGBTに対する考え方、などは、世代間で考え方が大きく隔たりがあるような気がします。
「大地」に限らず、「世代をまたがる小説」は、面白いものが多いと思います。
助左衛門四代記(有吉佐和子)、赤朽葉家の伝説(桜庭 一樹)、楡家の人びと(北杜夫)など
どれも、最高に、没頭的に面白かったです。
何故でしょうか?
自分の両親、祖父母などにも、各々に活き活きと(青くさく)命を燃やした時代があっりました。
その時代特有の雰囲気の中で各々の青春期がありました。
いま自分が生きている世界だけが全てではないということを感じ取り、もっともっと大きな世界観の中に自分が居ることを思い知るとき、日常生活の中で感じているイライラや倦怠感など、どうでも良いこと(小さいこと)のように思えてきます。
祖父母から両親へ、両親から私達に脈々と引き継がれている「何か」を感じるとき、価値観の相違を超えてそれは間違いなく私達を静かに励ましてくれるように思います。そして私達も静かに「何か」を次の世代へと引き継いでいきたい。
決して偉大なものではない、不器用にあれこれやって失敗して傷ついて、転んで、また立ち上がって。そういう、泥臭い時代の流れや雰囲気を感じることに、「世代をまたがる小説」の魅力があるように思います。
ふと、そんなことを思いました。